SmartBAN(スマートバン)は、人体近接エリアでウェアラブルデバイスなど複数のIoTセンサノードで計測した生体データを、無線経由でHUBに集約する「ボディエリアネットワーク無線通信規格」です。
国際電気標準会議(IEC※1)において、IEC 63203-801-1:SmartBAN PHY規格、IEC 63203-801-2:SmartBAN MAC規格として発行され、”国際標準規格”として国内・外で使用できます。
なお、2015年には欧州電気通信標準化機構(ETSI※2)TC SmartBANに技術提案され、物理層とMAC層の2つの標準が下記の通り規格化済みです。
[MAC規格]ETSI TS 103 325, Smart Body Area Network (SmartBAN);Low Complexity Medium Access Control (MAC) for SmartBAN
[PHY規格]ETSI TS 103 326, Smart Body Area Network (SmartBAN);Enhanced Ultra-Low Power Physical Layer
※1 IEC(アイイーシー):International Electrotechnical Commission
※2 ETSI(エッツィ):European Telecommunications Standards Institute
標準規格 | 標準化団体 | 備考 |
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SmartBAN | IEC | 2022年11月に発行された、BANに関する最新の国際標準規格 |
Bluetooth Low Energy(BLE) | Bluetooth SIG | BANではないが現在最も普及 |
IEEE 802.15.6 | IEEE | 2012年2月に標準規格化 |
IEEE 802.15.4j | IEEE | 米国におけるM-Band向け15.4規格 |
IEEE 802.15.4n | IEEE | 中国における医療周波数帯無線規格 |
HUBを中心としたスター型のネットワーク・トポロジを構成。人体の適所に配置した最大16台のセンサの「高精度な時間同期」を実現し、複数センサを連携させ情報を統合し解析することが可能です。
医療・ヘルスケア用途での信頼性の高い通信に不可欠な「生体情報に応じた許容誤り率での最適伝送」「緊急信号の低遅延伝送」「他人との干渉回避」「長時間利用に応える低消費電力化」などを実現しています。
①QoSの最適制御 | 様々な伝送レート、許容遅延、許容誤り率などを有する入力信号や緊急信号の最適伝送 |
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②タイムリーな接続 | ノードの迅速な初期接続及び再接続。緊急信号の迅速な発信 |
③システムの共存 | 同じチャネルを使用するBAN同士が接近した場合の干渉回避 |
④低消費電力化 | 小型生体センサの需要に合わせたUltra-Low-Power MAC,Ultra-Low-Power PHY技術 |
装着センサのそれぞれが、単機能/簡易(小型)/安価でも、各々を連携させ取得情報を集約・統合することで、様々な分野の業務・現場などで必要十分な品質・レベルの生体情報を得られます。
“過酷環境対応品”や運動・作業動作を妨げない”高装着性品”など、センサの選択肢が広がることで、活用・継続性も高まります。
状況に則した無線の自動制御(近接時の干渉回避など)を実現しているため、利用する環境での使用制限が少ないのもポイントです。例えば、狭い室内で使用者が近接しやすい状況でも同時使用が可能です。
SmartBAN | Bluetooth Low Energy(BLE) | IEEE 802.15.6 | |
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周波数 | NB(2.4GHz) | NB(2.4GHz) | NB,UWB,HBC |
最大伝送速度 | 1Mbps | 1Mbps(※1) | 約1~12Mbps |
通信距離 | ~数m | 2.5~50m | ~数m |
同時接続数 | 16台 | 231台(※2) | 64台 |
※1 実際の通信速度は数十kbps程度
※2 実際は転送速度によって制限される
SmartBAN | Bluetooth Low Energy(BLE) | IEEE 802.15.6 | |
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低消費電力 | ○ | △ | × |
QoS制御 | ○ | × | △ |
タイムリ接続 | ○ | △ | △ |
システム共存 | ○ | △ | △ |
複数ノード間の同期 | ○ | × | ○ |
注) ETSI TR 103 394, Smart Body Area Networks (SmartBAN); System Description,ver.1.1.1, Jan., 2018. を元に簡略化して掲載
SmartBANの活用で、体調・様態・動作など複合的な人体の情報を統合し「可視化」できます。
適用自由度も高く、医療・ヘルスケアのみならず、機器の制御・稼働監視など様々な分野で活用が可能です。
医療・介護など |
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ヘルスケア・ウエルネス・見守りなど |
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機器稼働管理など |
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